主に映画やテレビの製作を学びます。企画から脚本執筆(プリプロダクション)、撮影(プロダクション)、編集(ポストプロダクション)を経て一つの作品をつくるまでのプロセスを全般に学ぶのが一般的。作り上げることに主眼を置く、映画監督を養成する課程がほとんどですが、大学によっては、配給や宣伝、マーケティングにも力を入れています。ほかに映画批評・分析する専攻としてCinema Studies、報道全般を学ぶBroadcasting、マスコミを学ぶ対象とするMass Communicationsといった専攻分野もあります。大掛かりな機材やスタジオが必要になるので、この専攻を設けている大学の多くは総合大学です。
ロサンゼルスやニューヨークにある大学のカリキュラムは映画業界との結びつきが強く、インターンシップの機会が豊富に設けられています。
つくった作品はフェスティバルなどで上演され、一般人や業界人が招かれることも少なくありません。
ハリウッドとの結びつきが強いのが西海岸で、インディペンデント系の根が深いのが東海岸です。勉強する内容は、実際につくること以外にも、映画を観てその分析をしたりする、映画批評も含まれます。
これらの評論のクラスでは、相当長い論文を提出しなければなりません。といっても、やはり制作に直接関連する科目が中心になります。脚本の書き方、演出法、撮影、照明、編集、音響、配給にいたるまで、それぞれが個別に教えられる科目と、集積して完成された作品を作って発表する科目とにわかれます。
最近では映像とデジタルメディアとの結びつきが強まり、編集・加工はデジタルで行われるのが普通になりました。
映像・音楽学
Film・Musicology
映画Film
映画学・映像学Film
映画の発信地として、世界中に優れた作品を送り出しているアメリカは、ビジネスとしての映画製作を最も成功させています。それだけに、世界中から若い才能のある学生が集まって学んでいます。
また、教授陣には、ハリウッドをはじめ実際の製作現場で活躍する映画人が名を連ね、最新の知識が豊富に吸収できます。アメリカは、映画のほか、テレビ、ビデオ、街頭ディスプレイ、インターネットとさまざまなメディアの先進国であり、それぞれのメディアごとに映像制作の専攻を設けています。プロデュース、演出、脚本、映像技術、編集、照明、特殊メイク、SFXなど多岐にわたる専門コースが受講できるほか、過去の作品を鑑賞しての分析、自ら執筆した脚本をめぐっての意見交換も行われる。
その学習成果をいかした作品制作や、学生同士でのディスカッションが絶えず行われるので、英語でのしっかりとしたコミュニケーション能力と幅広い教養も養われる。
また、インターンシップでは、テレビ局などの製作現場で実習を積む機会も与えられ、職業としての映像制作に触れることができます。日本で映画を勉強することを希望する場合、専門学校か、芸術大学や特定の限られた大学の文学部で勉強をする以外に道がありませんが、アメリカの場合、大きな総合大学であると、ほとんどが、映画学に関する専攻を有しており教養課程の中で映画に親しんだり、また、大学に別の専攻を希望した後に、映画学に専攻を変更したり、その逆のパターンも可能で、日本よりかなり柔軟に専攻やカリキュラムを選択できるというメリットがあるといえます。
卒業後は、映画産業のみならず、ジャーナリズム、教職、政府機関、民間企業など、広範囲にわたる職業の選択が可能であり、その意味で、職種が限定されている日本の芸術大学や専門学校よりも、有利です。
特に日本においては、映画や映像処理に関する技術を有し、さらにネイティブレベルの高い英語力があれば、各種テレビ局をはじめ、多くの外資系企業においても、職業選択の可能性が広がります。
音楽・音響Music・Sound
美術などの芸術分野と同様、アメリカにおいて音楽はとても一般的な専攻であり、全米で約2000校近く存在する大学の中で、1300校以上の大学が、何らかの形で音楽を専攻できるカリキュラムを持っています。日本においては音大に行く学生は、とても限られたものとなっており、また教育もクラシック中心の音楽を学ぶことになる。アメリカ大学では演奏系や作曲系のコースが揃っており、クラシック、ジャズ、ポップスなど多様に選択できます。
日本においては、音大に行く学生は音楽に関する特別な教育や訓練を受けなければ、進学できないというシステムですが、アメリカでは、全くの初心者でも、音楽を専攻できるとする、極めてフレキシブルな教育体制を持っています。もちろん上位の音楽大学への入学に関しては、日本以上に難関名学校も多いですが、一般的に、音楽はアメリカにおいて、非常に大衆化しており、リベラルアーツ・カレッジや、総合大学の教養学部の中で、教養課程の一環として授業を受けることができる他BA、より専門的な音楽士号BMを目指すこともできます。通常、音楽留学する場合は、実際に実技テストを行うに先立って、オーディションテープの提出を義務付けていることが多いですが、リベラルアーツ・カレッジや、特定の総合大学内にある教養学部における音楽専攻の場合には、これらのオーディションテープの提出を必要としない場合もありますので、事前の確認が必要です。
また、大学によってはコンピューターを使った音楽制作を学ぶ専攻(電子音楽・音楽テクノロジー)のほか、レコーディング技術者である音響エンジニアを養成する音響・レコーディングの専攻もあります。これらの専攻の卒業生は、録音制作の仕事に不可欠な人材となります。さらに音楽産業の厚さを背景とした音楽ビジネスの専攻まであります。これは音楽の基本に加え、ビジネスやマネジメントを学ぶことで、音楽事務所やレコード会社などの業務に必要な人材を育てるものです。