心理学を学ぶ為にアメリカ大学へ進学する受験生が驚くのが、その講座数の多さと専門性の高さです。 心理学の学位が、理系の学位と文系の学位に分かれているのにも驚きます。アメリカでは心理学は、行動と思考や感情の動悸の科学であるという考え方が主流です。つまり、専門分野によって多少異なるものの、基本的には物理学や生物学と同様に、科学的な手法で人間を分析することがメインです。アメリカでは、ほぼすべての大学に心理学の講座がもうけられ、本格的な講座を持ち、大学院まで学べる大学が過半数を占めます。そして専攻は細分化され、社会心理学や発達心理学など比較的一般的なものから、テレビやネットといった媒体が人々にどのような影響を与えるか考えるメディア心理学やスポーツ心理学など新しい研究分野まで50種類を超えます。 アメリカでは一般レベルの家庭には専属のカウンセラーがいて、いつでも相談できるようにしているように、日本のようにカウンセラーに相談することが特別なことと考えていません。その為アメリカでは日本とは比較できない心理学の基盤の確かさがあります。 アメリカでは実際に起こった事件や出来事についての心理を授業に取り入れたりします。実際に犯罪心理の授業では刑務所でカウンセリングを行なっているプロが教室に来て授業をしてくれたりします。このように日本の縦割りの学部構成ではあり得ない、多様な分野にわたる研究を自由に行える環境がアメリカでは整っています。 また、日本の心理学界は、アメリカに比べ10年以上も遅れているといわれています。学問として心理学を修める場合、また職業として専門に携わる場合は有利というより、アメリカ大学で学ぶことは不可欠です。アメリカ大学では心理学は非常に人気が高く、卒業生の3割が心理学専攻という大学もあります。 それは、心のストレスの多い時代という面もありますが、人間が関わるすべての場所に心理に影響する要因があるからです。それは専攻分野の多彩さに現れています。学士課程では、主に理論を中心に、臨床、社会、発達、認知、行動など基本となる心理学を学べます。また、修士課程では、実践の場として実習や実験、フィールドワークやインターンシップが中心です。
心理学
Psychology
心理学Psychology
カウンセリング学Counseling Psychology
中学や高校にスクールカウンセラーが配置されるようになって10年がたちます。日常的な悩みから、深刻な問題まで相談にのってくれます。実際、アメリカで心理学を学び、スクールカウンセラーや一般の心理カウンセラーを目指したい学生は多い。アメリカでは、昔から心理カウンセリングが浸透しており、学校にはスクールカウンセラーが常駐し社会的地位も高い。このような社会環境のため、アメリカの大学では心理学が非常に盛んです。大学によって広い分野を扱う大学や、ある分野に非常に強い大学といった特色が出ている為、興味に応じて選べます。もしまだ興味がはっきりしなければ、大学で学びながら進路を決め、大学間での転学制度を活用したりすることもできます。
産業心理学Industrial Psychology
産業心理学は、日々動いていくビジネスの世界で、組織として働く人々の問題を取り扱ったり、マーケティングに関わる分野の研究をおこないます。例えばリーダーシップとはどういうものか・・・どうすれば意欲がでるか・・・職場でのストレスの解消方法など、どんな企業でも抱える問題について、心理学の分析手法を用いて取り組みます。 また、これらは産業心理学の中でも、組織心理学として区別する場合もあります。また、マーケティング分野は、例えば読む順番や色使いの与える影響、商品購入までの真理的な過程を追うなど、商業と心理に特化した研究が行なわれています。産業心理学は企業経営やマーケティング、広告宣伝、人事や労務管理など、企業活動のあらゆる場面で役立つ実用的な分野として急速に人気が高まっています。
教育心理学Educational Psychology
アメリカの大学の教育心理学専攻では、子供や青年の考え、感情や行動がどのように形成されていくか、それらの状態を理解するにはどうすれば良いのか、といった発達心理学の基礎的研究から、効果的な学習法や心の安定を失った生徒への対応の方法論など、応用的研究まで行われています。日本の事情の中ではこれが正しいといった方法論もない為、専門的なカウンセリングを行う教育に関してはほとんど行われておりません。アメリカの大卒でスクールカウンセラーになるには、大学院卒業後、臨床心理資格を取得するのが一番早い。2年間の臨床経験が求められるが、大学院で臨床実習主体のコースを選択することで対応できます。また、教員を目指す場合は、アメリカ大卒業後に日本の大学に学士入学するなどして不足単位を補い、教育実習を行うことで対応できます。
犯罪学・犯罪心理学Criminal Psychology
アメリカでは、犯罪対策の一環として、早くより一般の大学でも犯罪の科学的・学術的研究が進んでいます。犯罪学の一環として心理学や精神医学によるアプローチが利用され、犯罪の動機や犯罪に至る心理を分析し、未然の犯罪防止に役立てます。それでも犯罪が発生してしまったら、犯人の次の行動を予測したり、人物像を考察する(プロファイリング)のに活用している。犯罪心理を学びたい場合は、犯罪学や刑事司法学を専攻する場合や、心理学を専攻して犯罪研究のために必要な、人類学、社会心理学などを学んでいく場合とがあります。他分野にまたがる学習が必要なだけに、日本には研究者自体は少なく、社会学や法学と心理学を、一般教養を除いて同時に学べる大学はほとんどありません。
アートセラピーArt Therapy
アートセラピーとは、アートを癒しに応用する分野です。癒しとアートが合体した分野としては、ほかにミュージックセラピーとダンスセラピーがあります。作品を作ったり鑑賞したりするプロセスを分析することで、その人がどのような能力やパーソナリティをもっているか、あるいはどのような関心事や心配事を抱えているか、といったことを探ろう、というのがアートセラピーの狙いです。 セラピーの対象となるのは、発達遅延の人や、身体的に障害を持っている人、人とうまく接することができない人、精神病の人などさまざまで、年齢、性別を問いません。特に言葉の発達が進んでいない子供に対する効果的な療法として用いられています。専門性の強い分野なので、基本的には大学院で学びます。ミュージックセラピーやダンスセラピーも同じです。 大学にもアートセラピーの課程はありますが、これらは入門的なもので、修士課程への準備プログラムといえるでしょう。アートセラピーの基礎はアートと心理学なので大学でアート専攻しながら心理学の専攻をとって、大学院で本格的に学ぶのが良いでしょう。