演劇になくてはならない役者になる為に勉強するのが、この分野です。ただし、役者になる為だけではなく、演出についても学ぶ為、多くの大学で演出/演劇というセットでカリキュラムを組んでいます。
役者と演出家のコミュニケーションは、演劇や映画など、演じる人がいて、それを演出する人がいる場では、とても重要です。その為、演出家を志望する人でも、役者がどのような思考のシステム、感情移入するプロセスをもって演じるかを知らなければなりませんし、また逆に、役者にしても演出家の頭や心の内を知ることで、より的確な演技ができるはずです。
優れた演出家が優れた役者である例は、世界の演劇・映画界で数多く見られます。演技を目指す人は英語力を心配するかもしれませんが、重視されるのは、英語力よりもむしろ表現力です。台詞も大切ですが、ジェスチャーや表現、体の動きといった身体表現も同様に大切です。
アメリカの演劇・映画界は英語を母国語としていない役者もたくさん活躍しています。ちなみにニューヨークのブロードウェイでは、役柄の大小にかかわらず、配役はすべてオーディションによって決まります。第一線で活躍している俳優でも、オーディションを受けなければなりません。ですから実力次第では、誰にでもチャンスがあるのです。
芸術学
Science of Art
演技Acting
舞台制作Stage Design
舞台セットのデザインや照明デザイン、コスチュームなど、裏方作業にかかわることを学ぶ分野です。
脚本家や演出家のビジョンをいかに具体化し、そのビジョンに沿ってどのように効果的に表現するかが問われ、2次元、3次元の表現力が必要になります。ある程度の絵心が必要となり、デッサン力や色彩表現力がとても重要になります。大学によっては線画や絵画、コンピュータ・グラフィックスといった美術系の科目が必須となっています。
やはり、一つの背景をデザインし、作成するには、それなりの技術が必要となりますし、照明の当て方にしても空間デザインの知識とセンスが問われます。理論的なことも学びますが、より実践的なことに重きが置かれます。教授が演出する学生劇や、ダンス専攻の学生発表会などに携わり、舞台デザインや舞台装置の設置、照明などに従事することもあります。演劇は、絵や彫刻などと違って共同制作ですから、そこでの人間関係をいかにこなすかがポイントとなります。アメリカでは、演劇にしても映画にしろ、役割分担がきっちりなされ、助監督(演出補佐)も、専門職として確立しています。
演劇Theater
アメリカには演劇の専攻課程を設ける大学が800近くもあります。パフォーマンスが重要だと考えられている国ですから、演劇を学ぶことは、表現力を高めるためにも重要です。どんなリベラルアーツ・カレッジにも劇場がありますし、演劇という専攻を設けていなくても、演技や舞台デザインの科目があり、歴史や化学などを専攻するように、演劇を専攻することも何も特別だとは考えられていません。
基礎レベルの科目は何の経験がなくてもとれますので、演劇を専攻するつもりで入学したのではなくても、そうした科目をとるうちに演劇が自分に向いていると実感できれば、演劇を専攻してもかまいません。
専攻学科とかかわりがない演劇サークルも活発で、演劇を専攻としていなくてもオーディションを経て学生劇の舞台にたつことも可能です。日本の大学と同じくアメリカの大学でも、年に何回か、役者から裏方まで、すべて学生によって作られた劇が上演され、在学生だけではなく、一般の人も招かれます。
アメリカの田舎に行くと、大学その町全体のレクリエーションの場として、キャンパス内の劇場が広く一般に開放されています。そこで上演されるのは学芸レベルといったものではなく、舞台デザインやコスチューム、学生たちの演技にはビックリされるものです。
セットチェンジや照明まで、すべてコンピュータ制御でオペレートされるような、ハイテク劇場もアメリカの大学では多く見られます。演劇といえばブロードウェイが有名ですが、それほど大きな規模ではありませんが、演劇はアメリカ人生活の中でとても日常的にとらえられています。演劇を鑑賞することによって、人生が豊かになり、美に対する意識や情感といったものが、より深まります。アメリカの大学の演劇の勉強ですが、理論(あるいは歴史)と実践とに大別されます。
リベラルアーツ・カレッジでは、理論も実践もまんべんなく学ぶカリキュラムになっています。理論中心のカリキュラムでは、演劇の歴史的発展スタイル、文化や社会とのかかわりを学んだり、個々の作品を分析したりします。たくさんの劇作品を鑑賞し、一つひとつの作品についてその意図、スタイル、社会・歴史・文化的背景、劇効果、演出・演技法などさまざまな観点から分析し、自分なりの意見を述べたり、ペーパーに書いたりします。演劇との関連で、文学、音楽、哲学、歴史、社会学、心理学などを学習対象とすることも少なくありません。
一方、実技のほうは、大きく役者になる勉強か裏方(演出家や脚本家を含む)をめざす勉強かに分かれますが、多くの大学ではその両方をバランスよく学ぶカリキュラムになっています。いずれにしても、演劇史やスタイルといった理論的なことから、モノローグ、インプロビゼーション、呼吸法などの基本的な技法、そして場面構築、舞台デザイン&設計、照明&音響、ステージ技法、メーク&衣装に至るまで、演劇を構成するあらゆる要素を学びます。また、教授の指導のもとに、学生たちが共同で舞台をつくりあげ、公演を行ったり、ときに全米ツアーをすることもあります。かなりのコミュニケーション力が求められます。
舞台芸術学・ダンスミュージカルTheatrical Art・Musical
アメリカの大学の演劇コースでは声楽、バレエ、各種ダンス、コーラス、パントマイム、演技など、ハイレベルな訓練が幅広く行われ、プロ級の実力を持ったパフォーマーを育てています。豊富なカリキュラムや充実した設備など、アメリカならではの大きなアドバンテージを備えており、さらにミュージカルやオペラといった本場の舞台を目にする機会もあり感性個性が豊かになります。また実際の講演活動を経験しつつ、演技やダンスを学べることもアメリカ大学の大きな特徴でもあります。学内に本格的な劇場を備えている大学も多く、外部講演や大学テレビの地域放送など多く、確かな実践力を養い、経験を積むことができます。演出やプロデュース、舞台美術、舞台芸術などのスタッフを目指す学生にも、アメリカ大学のカリキュラムは非常に魅力的です。
照明、音響、衣装デザイン、美術製作など専門的なコースが揃い、それぞれの第一線で活躍する教授陣から直接指導をうけることができます。さらに演劇史、演技論、脚本分析などの理論体系をしっかりと学ぶことで、技術だけにかたよらない高度な知識を身につけていきます。またアートに関してはアメリカの大学において、最も一般的な科目であり、専攻を芸術学としなくても、大学の1,2年の間の教養課程において、アート分野の選択科目を履修することは、ごく一般的なことといえます。また、留学生の中には、特に関心がなくても、教養課程の間にアートの授業を受けることによって、関心が強まり、そのまま専攻をアートに変更する学生も多く存在します。このように、日本とは違い、初歩レベルであっても、アートの授業を受けることができ、また本格的で、より専門的な専攻への移行ができるといった意味で、非常に柔軟なカリキュラム選択が可能といえます。そして、帰国後も、アートを専攻した学生は就職にも有利なことが多いです。